牛タンは全国に知られた仙台名物料理の1つだ。
幅広い年齢層から人気の牛タンだが、仕入れ値の高騰により、本場・仙台でも値上げラッシュが起こっている。いったい何が起こっているのだろうか。
■自宅の焼き肉需要の増加も背景に、牛タンの市場価格は約3倍に高騰。
新型コロナウイルス感染拡大は、牛タン業界も直撃した。移動自粛等により、主な顧客であった観光客と出張者が激減し、多くの牛タン専門店は売り上げの大幅減少を余儀なくされた。その結果、牛タンの市場価格も通常1kg約1000円のところ、昨年は緊急事態宣言後、一時期約500円まで暴落したという。その後、同年10月頃からは上がり始め、今年3月頃から急騰しているという。
なぜ、価格が上がっているのか、需給バランスの崩れをもたらした2つの要因について考えてみよう。
1.新型コロナウィルスの影響による供給量の低下
アメリカの食肉加工会社内でクラスターが発生し、大手企業が相次ぎ閉鎖。オーストラリアの工場では、出稼ぎ労働者がコロナ禍で帰国。それにより食肉生産が上がらず、供給量が低下した。
またアメリカ、オーストラリアなど牛タンの原産国では失業給付が充実していることもあり、工場で働く労働者の減少を招いたと考えられそうだ。
2.コロナ禍における牛タン需要の拡大
「飲食店での酒類提供が禁止」「不要不急の外出の推奨」などにより自宅での焼き肉需要が増加している。
500~600キロある牛に対して、タンは1.5キロほどしか取れない希少部位。需要と供給のバランスが崩れると一気に価格が上がってしまうことになる。
新型コロナに伴う顧客減少に加え、牛タンの市場価格高騰により、牛タン専門店の経営環境は一気に悪化している。仕入れ価格が上昇しているなかで利益を出すためには、値上げせざるを得ない。一刻も早い正常化を望むが、未だ先行きが見通せない状況だ。
今回の「牛タンショック」を受け、専門店がどう現状を打開していくのだろうか。焼きのみの提供ではなく、煮込みや角煮など新しい提供スタイルの確立が現状を打開する「カギ」になるかもしれない。
ゆう
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