私たちは、生まれたときから周りの人々を観察し、真似ることで様々なことを学習してきました。
この「モデリング」という能力は、人生を豊かにし、目標達成を加速させる強力なツールとなります。
しかし、大人になるにつれて、その使い方を忘れがちです。
そこで、再びモデリングの力を最大限に引き出すために、意識すべき３つの重要な鍵について深く掘り下げていきましょう。
１．コンテキスト（場面）を明確にする：状況に応じた最適なモデルを見つける
モデリングで最も重要なことの一つは、**「どの場面で、誰の、どのようなパフォーマンスを参考にしたいのか」**を明確にすることです。私たちは、特定の人に対して全人格的な憧れを抱きがちですが、効果的なモデリングは、状況や目的に応じて最適なモデルを見つけることから始まります。
例えば、「プレゼンテーションスキルを高めたい」という目的がある場合、社内でプレゼンが上手いと評判の人、あるいはセミナー講師、著名な講演家など、その分野で卓越した能力を持つ人をモデルとして選びます。しかし、その人の話し方、資料の構成、聴衆とのコミュニケーション方法など、具体的などの部分を学びたいのかをさらに絞り込む必要があります。
単に「〇〇さんのようになりたい」と漠然と考えるのではなく、「〇〇さんの、聴衆を引き込む冒頭のトーク術を、来週の会議での発表に取り入れたい」というように、具体的なコンテキストと目標とするパフォーマンスを結びつけることが、モデリングを成功させるための第一歩です。
２．多様なモデルから「良いとこ取り」をする：一点集中ではなく、多角的な視点
効果的なモデリングは、一人の完璧なモデルを探すのではなく、複数のモデルからそれぞれの優れた点を学び、統合するという視点を持ちます。
まるで料理で様々な食材の良いところを組み合わせるように、様々な人の持つ独自のスキルや才能を自分のものにしていくイメージです。
例えば、コミュニケーション能力を高めたいと考えた場合、話が面白く人を惹きつける同僚、相手の気持ちを深く理解する上司、論理的に分かりやすく説明する先輩など、それぞれ異なる強みを持つ人を参考にします。
そして、それぞれのモデルの良い部分を抽出し、自分のコミュニケーションスタイルに取り入れていくのです。
研究会の先生がホリエモンさんのメールの使い方の「効率性」や「情報伝達力」といった特定の側面に焦点を当ててモデリングしたように、モデル全体をコピーするのではなく、自分が伸ばしたい能力やスキルに合致する部分だけを選択的に学ぶことが、より効率的で現実的なアプローチと言えるでしょう。
３．無意識の力を活用する：「取り入れたいものだけ」を選ぶ賢さ
モデリングを行う上で、私たちが意識的に「これは良い」「これは悪い」と判断するだけでなく、無意識の力を活用することも非常に重要です。
私たちの無意識は、過去の経験や価値観に基づいて、自分にとって本当に必要な情報やスキル、そして避けるべき要素を瞬時に判断する能力を持っています。
実践講座で紹介された「無意識フィルター」の活用は、まさにこの無意識の力を意図的に使うテクニックです。
例えば、「あの人のリーダーシップをモデリングしたいけれど、高圧的な態度は避けたい」と意図することで、無意識が取捨選択を行い、自分にとってプラスとなる要素だけを取り入れるように働くと言われています。
これは、私たちが幼い頃、親や周囲の大人から言語や習慣を学ぶ際に、無意識的に自分に合ったものを選び取ってきたプロセスと似ています。
大人になった今、この無意識の力を再び意識的に活用することで、より洗練されたモデリングが可能になるのです。
これらの３つの鍵を意識することで、私たちは過去の失敗経験からくる「モデリングはうまくいかない」という思い込みを乗り越え、人生のあらゆる場面でモデリングを効果的に活用し、自己成長を加速させることができるでしょう。
人生はまさにモデリングの連続であり、その連続をより意識的に、そして賢く行うことが、私たち自身の可能性を大きく広げることに繋がるのです。
いけやん
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