一昨年、38年間の教職生活を定年退職しました。定年後をどう過ごしたらいいものかと本屋で物色していると「楠木新著 定年後 50歳からの生き方、終わり方」という本を見つけました。さっそく購入してみると気になる一節がありました。
「研修講師をやっている知人が、あるメーカーでグループワークを中心に研修を行ったそうである。『60歳の自分』というテーマで、数人のグループで自由討議を実施したそうだ。その中で面白い場面があったという。初めは各グループとも部長や部次長などの高い役職にある社員がグループの議論をひっぱっていた。本社や全国の支店、場合によっては海外赴任も経験したわゆるエリート層が主導権をもって進めたのである。しかし、『60歳の自分』はどうありたいかという具体的な討論を進めていくと、5つのグループのうち2つのグループでは、高校を卒業して地元の工場で働いている社員たちが積極的に話し始めた。一方で口火を切った部長の声は小さくなり、後半はほとんどしゃべらなくなったそうだ。地元で働いている社員は、60歳以降の自分の生活を具体的に語ることができたのに対して、本社にいる役職者たちは自らの姿が見えないことに気付いた。そして議論の主導権は交代したというのだ。社内で高い役職についているからといって、未来の自分が必ずしも輝くとは限らない。会社の仕事に比重をかけすぎるとかえって定年後が厳しくなることも考えられる。」
この研修の話を読んだとき、以前勤務した小学校のサッカー部で指導した教え子のことを思い出しました。その子は非常に優れた選手で県大会で優勝も経験しました。その後、中学校、高校、大学とサッカーを続けましたがプロにはならず、社業をやりながらの社会人サッカーチームに入り、そこでキャプテンとして活躍しました。そんな彼から、今期限りでサッカーを引退し社業に専念しますという年賀状をもらいました。プロを選ばず、自分の力量を見極め引退後のことまで見据えて好きなサッカーを続けた教え子に感服しました。ほかにも、自分でクラブチームのオーナーとなり子供達を全国大会に何度も導いた者もいます。教師冥利につきるというものです。
さて、皆さんはリタイアしたときのイメージをどのようにもっておられるでしょうか?これまで真面目に、懸命に会社や家族のために働いてこられた皆さんには豊かなリタイアメント・ライフを送っていただきたいと切に願っています。
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Taketoshi Michigami(武ちゃん)
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