チェンマイから北へ150㎞
バスに揺られて約3時間
日本の原風景が残るのどかなFang(ファーン)という街がある。
西側の山岳部はミャンマーとの国境になっていて、
田舎のようでもあるが国道沿いには、
大規模な商業施設が立ち並んでいる。
国道107号線から山岳部に向かって
奥へ3㎞入って行ったところに小さな村がある。
ここに私の奥様のお兄さんが住んでいる。
1週間ほどお世話になったときに、
今でも忘れられない思い出がある。
蟻の卵はご存じだと思うが、
タイでは蟻の卵を食べる習慣がある。
赤蟻と呼ばれるツムギアリで、
木に巣を作り2月から5月にかけて卵を産む。
3ヶ月の間にしか食べれない貴重な食材で、
スープに入れたり、卵焼きにしたり、
サラダにしたりと幅広く利用される。
私達が訪れたのは2月の終わりごろ
まさに蟻の卵の捕獲時期である。
早速、赤蟻のいる木の周りに
ビニールシートを敷いて長い竹の棒で巣を突く。
次々と蟻と卵が落ちてくる。
私も棒を持って手伝った。
ところが、落ちた蟻を見てみると
なんと私を威嚇しているではないか。
私をめがけて攻撃してくる。
日本の黒い蟻よりも大きい赤い蟻が
私の足元から次々に登り始めかじってきた。
これがとんでもなく痛い。
登ってくる蟻を手で払いのけると、
木の上から落ちてきた蟻たちが私のTシャツに張り付いている。
首筋から中へ入り、胸元や背中を容赦なくかじってくる。
痛くて蟻の卵獲りどころではなくなった。
足は痛いは、背中は痛いは、胸やお腹が痛いはで
一人でもがいていた。
それを見ていた近所の人達が大笑い
最後は洗面所に行き、
服を全部脱いでシャワーを浴びる事で
蟻たちを洗い流してやった。
それにしても狂暴な赤蟻たちである。
そんな赤蟻の卵をサラダと卵焼きにしていただいた。
カイ(たまご)モッ(蟻)デーン(赤い)
と呼ぶイサーン料理
卵のサイズは1㎝弱の大きさで、
食べると「プチッ」とはじけ
中から濃厚な栄養素が口の中に広がる。
味は白子を食べてるような感じでほんのり甘い。
痛い思いをして食べた赤蟻の卵は、
私にとっては恨み返しの味わいだった(笑)
バンコクではあまり見かけないが、
イサーンに行くと市場でよく見かける事がある。
一山で40バーツで売られていた。
精力がつくと言われたが・・・(小笑)
北タイやイサーンの人達の大好物である。
イサーンの奥様の実家では、赤蟻も食べていた。
私も食べてみたが、酸っぱい味がして以外だった。
タイへ行ったときに、
時期が合えば赤蟻の卵を食べてみるのもアリだと思う。
kamo
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