~前回までのあらすじ~
新婚旅行というイベントを迎えるに際し、悩みに悩んだ挙句、
ヨーロッパ諸国の中からイタリア一国に絞り込むことになった。
「滞在先は全泊同じ宿!」というネガティブに端を発する攻めの姿勢により、
パックツアーを断念し、ガイドなしでの初の海外旅行に挑戦することになった。
旅行代理店の女性店員は、書類に落としていた視線をゆっくり上げながら、
「ツアーガイドなし・・・ですか?」
と、私の目を窺うように見ながら話した。
(え?やっぱり無謀なのかな・・・・)
(初めての海外旅行で、なんにも分からず変なことを言っていると思われてるのかな・・・)
わずかな一瞬の間に、頭の中に日本語翻訳が追いつかない不安の思考が走る。
数秒の空白を間に挟み、全ての不安な思考を一言にまとめて返事をする。
「大丈夫・・・でしょうかね・・・?」
「ハイ!大丈夫ですよ!!!」(とても明るい声で)
大丈夫なんかーい! と、思わず突っ込みたくなる衝動を必死に抑える。
私はこの店員さんと楽しい会話のひと時を過ごすために旅行代理店まで足を運んだわけではない。
一生に一回の人生のイベントである新婚旅行を、楽しく円滑に実行するために、
イタリア旅行の意識やら、細かい約束事やら、多くの情報を確実に得ていかなければならないのだ。
そう、やたらと明るい声で「大丈夫ですよー!」と私の不安を打ち消してくれたのはいいが、
大丈夫と言っても、何がどれくらい、どんなふうに大丈夫なのかを確認しなくてはならない。
「現地に行ってから分からないことが出てきたらどうすればいいでしょうか?」
「あ、は~い!大丈夫ですよ~」(また明るい声)
「当社のガイドが現地に常駐しておりますので、そちらにご連絡してください~」
「そうですか・・。」
私の不安は全て吹き飛んだ。
ならば、
行きたいところを網羅する戦略を立てるターンに入る。
行きたいところの候補地を再確認する。
絶対落とせないのは「ヴァチカン市国」。
天地創造の天井画は生きているうちに一回は見なくてはならない。
そして「ボンベイ遺跡」。
栄えた都が、火山の噴火で一夜にして滅びた遺跡。
昔の町の様子が、人間の姿そのままに残された地。
中世ヨーロッパの歴史観が好きな私には垂涎である。
挙げればきりがなくなるが、
最低でもじっくり観光したい地点は以上の2か所。
他には
「トレヴィの泉」「真実の口」「スペイン広場」
などのローマの休日コース。
「コロッセオ」も押さえておきたい。
さらに、都合が合えば「青の洞窟」もぜひ見てみたいものだ。
これらの希望を、思いつくまま代理店の方に伝える。
「は~い。大丈夫ですよ~」
なんと。
大丈夫らしい。
限られた日程をコマ割りしていく。
「ヴァチカン市国」は丸一日見積もる。
ローマから近いが、何といっても一つの「国」である。
堪能するには短すぎることはわかっているが、まあ、妥当であろう。
「ボンベイ遺跡」も丸一日必要だ。
遺跡の場所はローマから離れており、バスツアーになる。。
さらに、なんと「青の洞窟」も行けそうである。
何とも幸運なことに、旅行日程中に参加できるバスツアーがあるとのこと。
青の洞窟に入るには、潮の満ち引きや天候など、季節的な制約に加えて、
海の荒れ具合など、運の要素が強いらしい。
ちょうど、洞窟に入るには適した時期とのことでツアーの空きもある。
これは行かずにはいられない。
これで、丸3日間の予定が埋まった。
一日は、ローマ市内のトレヴィの泉等を回る日に当てると丸4日になる。
これで、ほぼ日程は決まった。
フリーの時間があるにはあるが、到着や出発の飛行機の時間から見てせいぜい半日×2日ほど。
まあ、空港での買い物や異国の街並みを見ている分には、あっという間に終わってしまうであろう。
各バスツアーの予約をし、
市内での移動手段を一通り聞いて
前準備は万端かにに思われた。
だが、今にして思えば
1つだけ後悔がある。
最初の時点で、航空便は日本の航空会社、JALに決めていた。
理由は、日本の会社なら安心だろうという安易な思考停止だ。
もちろん、安心という点では何にも問題はなかった。
ただ、ただ・・・・
一生に一回という新婚旅行。
まさに、冒険をするべき時だったのに、
守りの思考に入っていた。
もっと攻めるべきだった。
イタリアの航空会社、アリタリア航空。
こちらの便を選ぶべきだった。
なぜなら、なぜならば!
新婚旅行で妻以外の女性に興味を持つのはいかがなものかと
ケツの青い若造や恋愛至上主義の女性達は非難するかもしれない。
だが、考えてみてほしい。
美人とは、見ているだけで幸せになれるのだ。
それが、異国の美人となればなおさらである。
肉眼で視認できる距離でイタリア美人にお目にかかるべきだった!!!
・・・・・・・・・。
若干暴走気味になってきたので、いったん記事を区切ります。
きりたん
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