魂を揺さぶる芸の一代記──
吉沢亮主演『国宝』が映す、美と業の極限
歌舞伎に人生を懸ける男たちの生き様を描いた映画「国宝」
2025年、百年に一度といわれる映画史に新たな「代表作」が誕生した。
これは、芸という“果てなき道”にすべてを捧げた男の魂の記録。
観る者の胸を激しく打ち、深く揺さぶり、長い余韻を残す一作だ。
言葉を失うほどの圧倒的体験。
スクリーンに映し出されたのは、まるで本物の歌舞伎公演を観ているかのような張り詰めた空気と、火花が散るような俳優たちのぶつかり合い。
劇場を出た後もしばらく立ち尽くしてしまうような、そんな“本物”がここにはある。
物語は、任侠の家に生まれながら、歌舞伎という芸の世界に身を投じた男の激動の生涯を描く。
血の宿命と芸の因縁に引き裂かれながらも、ひたむきに“到達点”を追い求めるその姿には、誰もが心を動かされるだろう。
主演の吉沢亮は、まさに本作で俳優としての新たな境地に到達した。
これまでの“美貌”や“人気”という言葉では片付けられない、まさに芸の化身とも言える存在感。
その演技は、表情の一つひとつ、所作のひと振りまでもが物語を語っていた。
師匠役を演じた渡辺謙は「間違いなく俳優・吉沢亮の代表作となるだろう」と語っている。
また若き日から共に切磋琢磨し、主人公のライバルとして演じた横浜流星も見事にアシストしている。
二人は共に一年半もの間、血の滲むような思いで歌舞伎の稽古をしてきたそうだ。
舞台に生きる男たちの信念、情熱、葛藤といったものが、二人の演技の掛け合いによって丁寧に紡がれていた。
そして、この映画の脇を固める俳優陣が豪華だこと!
渡辺謙が演じる師匠は、威厳と愛情を併せ持つ“芸の守護神”。
その妻を演じた寺島しのぶは、歌舞伎に身を捧げる女の深さと哀しみを、凛とした佇まいで体現。
ヒロイン役の高畑充希も、作品にやさしい風を吹き込む絶妙な存在感だった。
演出面でも注目すべきは、“音”の扱いだ。
ときに音楽を排し、静寂が語る時間を生かすことで、観客の呼吸までも映画に取り込む。
打楽器の重低音が響く場面では、歌舞伎という芸に宿る緊張感と気迫がまざまざと伝わり、背筋が伸びる。
まるで自分が舞台袖でその瞬間を見守っているような、そんな錯覚に陥るほどの臨場感だ。
そしてKing Gnu・井口理が唄うエンディングは、言葉を超えて楽器のように溶け込む歌声で美しい余韻を残してくれる。クライマックスを荘厳に彩り、観客を深い感動の海へと誘う。
この映画が伝えるのは、芸に生きることの歓びと苦悩、そして人間の業そのもの。
得体の知れない到達点を、ただひたすら追い求める人生の至福と過酷さたるや。。。
普段なら高額なチケットを買わなければ観ることのできない一流の歌舞伎公演を、スクリーンの中でたっぷりと堪能できた贅沢な体験だった。
これはただの「映像作品」ではない。日本の伝統と現代の表現が融合した、新しい形の芸術だ。
ゆっくりと物語に浸りたい人には、ぜひ劇場でじっくりと味わって欲しい。
映画好きも、伝統芸能に興味がある人も、そして“本物の演技”に飢えているすべての人へ。
『国宝』は、それに応える価値ある一作だ。
もしかすると、あなたの人生観すら揺さぶってしまうかもしれない。
そんな映画が、この令和の時代に生まれたことに心から拍手を送りたい。
【ストーリー】
後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。
この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。
そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。
正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人。
ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせてゆく…。
誰も見たことのない禁断の「歌舞伎」の世界。
血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り。
もがき苦しむ壮絶な人生の先にある“感涙”と“熱狂”。
何のために芸の世界にしがみつき、激動の時代を生きながら、世界でただ一人の存在“国宝”へと駆けあがるのか?
圧巻のクライマックスが、観る者全ての魂を震わせる―― 。
〜オフィシャルサイトより〜
監督 李相日
脚本 奥寺佐渡子
歌舞伎指導 四代目中村鴈治郎
キャスト
吉沢亮/横浜流星/高畑充希/寺島しのぶ/森七菜/三浦貴大/見上愛/宮澤エマ/永瀬正敏/田中泯/渡辺謙 他
公式サイト
https://kokuhou-movie.com/
【原作】
国宝 上 青春篇 (朝日文庫)
国宝 下 花道篇 (朝日文庫)
吉田修一

紫色舞

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