ちょうど1年ほど前に「これぞ本当の営業だ」と感じた出来事があった。
筆者はキャメル色の靴の爪先の傷を直したくて、繁華街じゅうの靴売り場を探し回った。
最後に行った某老舗百貨店の靴売り場の店員さんのサービスがそれだった。
筆者はクリームやブラシを購入して自分で直すつもりだった。
新しめの百貨店から周り、靴売り場、雑貨売り場と繁華街の殆どを行き尽くしたが、なかなか同じ色のクリームが見付からず、途方に暮れていた。
最後に思い当たったのが、駅に一番近い老舗百貨店だった。
老舗と言えば聞こえが良いが、要は建物が古いので、品揃えが薄い気がして、最初から除外して考えていたのだった。
「そこに無ければ諦めて帰ろう。」
そう思い、その百貨店の靴売り場に向かった。
接客してくださったのは、品の良い、初老の男性店員さんだった。
その店員さんは、自分の話を聞くと、クリームを探すのではなく、まずその場で直してくれようとして、消しゴムの様なアイテムを取り出して処置を施し、更に艶出しクリームまで塗ってくれて、もっと目立たなくしてくださった。
その上で、筆者の要望に応えて、靴の色に合ったクリームを、パンフレットを二種類出して一緒に選んでくれ、ケアの方法もしっかりレクチャーしてくださった。
筆者はその店でクリームを注文した。
まさに「情けは人の為ならず」である。
前職でも、「お客様の望まれている事を先回りして行動しろ」と言われていた。
それが、リピートに繋がるのだなあと、身に染みて実感できた。
かの経営の神様・松下幸之助氏の名言に「客の好むものを売るな。客の為になるものを売れ」という言葉があるそうだ。
まさに、この店員さんはこの言葉を体現していらした。
それがこの百貨店の教えなのか、この店員さん個人のポリシーなのかは分からない。
しかし、間違いなく、この売り場は一人の客を獲得した。
とかく、ものを売る立場にいると、お客様の買いたいものを、ともすれば、自分の売りたいものを売ってしまいがちである。
しかし、それはお互いにとって良い結果をもたらさない事が往々にしてある。
お客様の話を傾聴し、お客様が真に欲しているものが何かを察する力、それが真の営業力なのだと痛感したのであった。
FuGu21
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