成田空港から飛び立つ。
飛行機の中は、広い。
だが、座席は・・・狭い。
窓際の3人掛けシートの窓際2席に座る。
ちなみに、窓側は妻、その隣に私。
なぜならば、窓のすぐそばだと私が怖いからだw
離陸した後の方向転換で機体が傾いているとき、
窓から見える翼がとんでもなく傾いているのを見ると、
「このままストンと落ちんじゃねぇ?」
なんて考えてしまうのだ。
理性で考えれば、飛行機が落ちる確率なんてとても低い。
揺れだって、新幹線に比べても全然揺れない。
なのに、考えてしまう。
わたしは、おそらく想像力で浅瀬でも溺れるタイプだろう。
離陸までの間、こんなことを考えていた。
だが、いったん飛び立ち高度が安定すると
驚くほど揺れない。
ジャンボ機で機体が大きいからだろうか。
国内線のように急激な方向転換をしなくてもいいからなのか。
とにかく揺れない。
シートが狭いことを除けば、空の上にいることなど忘れてしまう。
で、安心してゆっくりしていると
今度は時間を持て余す。
到着まで15時間の所要時間。
ひたすら時間が経つのを座して待つ。
目の前のインフメーションには
今現在の位置を示す世界地図が映っている。
ロシアの上空を飛んでいるようだ。
当時はまだ冷戦中。
ソ連のミグが飛んできて撃墜されたらどうしよう。
まあ、そんなことはないだろうと自分で自分にツッコミを入れる。
そして、またヒマになる。
機内食も食べた。
国際便は初めてなので、機内食も初めてだ。
「魚」と「肉」の選択、当然肉を選択。
確かにうまかった記憶はあるが
どんな肉だったかまでは覚えていない。
ビールも飲んだ。
飲みすぎると気圧の関係で悪酔いすると聞いていたので
ほどほどに飲んだ。
あんまり飲むと、トイレが近くなる。
トイレに行くには、隣の座席の人に迷惑をかけてしまうので、
極力、回数は減らしたい。
特に、「夜の設定の時間」の時には
せっかく寝付いた人を起こすのは忍び無く感じる。
で、寝るには寝たが、さすがに熟睡とはいかない。
ここで寝ておかないと、現地についてから時差ボケがひどくなる。
そう思えば思うほど眠れなくなる。
ようやく寝付いて、目が覚めて時計を見ると数時間しかたってなかったり。
とにかく長い。
まだ現地についてもいないのに、
帰りも同じ時間かかることを考えてはうんざりしてしまう。
そんなこんなで
一夜が明け
到着時間が近づいてくる。
つい先刻まで真っ暗だった窓の外に
青空が広がっている。
飛行機は高度を下げ、雲の下を飛ぶ。
窓から見える、初めて訪れる大陸を眺める。
感動。
広い草原の中のところどころに
ヨーロッパの建物、茶色い屋根。
草原は農地なのだろうか
それとも、牧場だろうか。
この土地で暮らす人々の顔を想像する。
ひげが生えた、日焼けした赤い顔の男性が頭に浮かんでくる。
そうか。
ヨーロッパに来たんだなあ。
退屈だった飛行機の中、
窓から見える景色に目と心を奪われて
時間は瞬く間に過ぎていった。
きりたん
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