今をさかのぼること十数年、
私は横浜の関内駅のホームに立っていた。
そういわれても、別段普通の事と思うかもしれない。
しかし、私にとっては人生の中での貴重な心躍る経験であった。
というのも、私の居住地は北東北の片田舎。
職場への通勤も、日常の買い物も自家用車が必需品。
電車等の交通網など全くと言っていいほど整っていない過疎地なのである。
そんな田舎者が横浜の駅で電車を待っているのだ。
しかも「通勤」としてである。
私にとっては、まさに「非日常」の世界の真っただ中である。
私が田舎の現実世界から一時に抜け出して横浜に来た理由は
社会福祉士という国家資格の受験資格を得るために
スクーリングという講義を約2週間受けるためであった。
田舎から横浜に来るためには、それ相応の交通手段を用いる必要がある。
それには大きく分けて3つの方法があった。
1つは夜行バス。これは一番安価だが一番時間もかかる。
何より朝に東京に到着するので、バス車内でろくに寝られないまま活動を開始するのは気がめいる。
1つは新幹線。それなりに早く、それなりに料金もかかる。
一番のネックは、最寄りの新幹線の駅まで自家用車で2時間超という立地。
2週間の間、自家用車を駐車場に停めておくのは料金がもったいない。
最後の1つは飛行機である。一番早いが一番高い。
しかし、最寄りの地方空港までは自家用車で40分ほどであり、空港内の駐車場も無料である。
私は結局、一番時間のかからない飛行機を選んだ。
日程は事前にわかっていたので、早割り予約を使うことで料金も新幹線並みに抑えられた。
出発の日、空港までは妻と、当時2歳に満たない長男が私を送りながら見送りに来てくれた。
長男はそれなりに自分の周りの世界を理解するようになってきており
空港に着いたら「ひこうき!」と片言で叫んでいた。
いざフライトの時間が近づいて私は妻と長男に手を振った。
田舎の空港である。搭乗ゲートはガラス一枚を隔てて一般見送り客から見渡せる。
長男は何かを察していたのであろう。
わたしがゲートに向かって歩き出すと突然に泣きながら
「おとうさん、いくな!もどってこい!ぼくもいく~」と叫び始めた。
その叫びは数回繰り返され、周囲の見送り客はほほえましい笑顔で長男を見つめていた。
当の私はといえば長男の必死の叫びに涙がこぼれそうになり、多少は恥ずかしくもあり、
なにより飛行機にめったに乗ることの無い身としては
「子供ならではの能力で不吉なことを予言しているのでは・・」といった田舎者の杞憂も頭をよぎる。
妻の腕の中で私の名を呼びながら泣き叫ぶ長男を涙をにじませて振り切り、私は機上の人となる。
続きますw
きりたん
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こんにちは、Manohiroと申します。
移動手段は、いろいろあるが、
目的のあった手段がCPをアップしてくれる。
少し条件を見直してCPをアップする。
コメントありがとうございます^^
そうですね。何事も手段はベストを選びたいものですが、
その時々でベターのほうが結果オーライだったりもします。
なるべく多くのベターを選びたいものです。
お邪魔します!
ブログ拝見させていただきました。
お酒とお肉を愛する・・・私も大好きです(笑)
私もサラリーマンですが50歳を過ぎ
将来に少し不安を感じる毎日です。
きりたんさんの過去記事を今から拝見させていただきます!
コメントありがとうございます^^
お酒とお肉のお仲間さんですね^^
将来の不安はありますが、一緒に不安を希望に変えていきましょうね!